一般的な投資の教科書を読むと、「損失が生じたときはナンピン買いをすることによって、
平均の買い付けコストを引き下げる」というようなことが謳っていることが多いです。
しかし、これは分散投資効果と同じように、教科書の上では通用する話かもしれませんが、
実際のマーケットでは、あまり役に立たないケースがあるのです。本に書かれていることを
鵜呑みにしてはいけません。
ナンピンとは、たとえば買いから入って値下がりしたときには、最初に買い付けた金額と
同額分をさらに買い増すことによって、平均の買い付け単価を引き下げることです。
逆に、売りから入った後に上昇した場合は、売り建てた金額と同額をさらに売り増すこと
によって、平均の売り付け単価を引き上げます。
ナンピンの狙いは、現時点で被っている損失のリカバリーを。少しでも早めることにあります。
具体的な数字の事例を挙げて説明すると、1ドル=115円でドルを買った後、相場が円高に振れて
1ドル=110円になったとしましょう。このままでは、5円分だけ円安・ドル高が進まなければ、損失を
回復することができません。
もちろん、実際の取引では、ここにコストが加わりますから、その分も考慮に入れて円安が進まなければ、
利益を得ることができなくなります。当然、誰しも損失は早めに解消したいと考えるでしょう。そこで用いられる
のがナンピン買いなのです。つまり、1ドル=110円のところで、最初のドル買いと同額分のドルを買い増しし
おけば、平均買い付け単価は1ドル=112円50銭になります。したがって、今のレートから2円50銭分だけ円安
が進めば、その時点で損失を解消できることになるのです。
ただ、ナンピンには落とし穴があります。たしかに、1ドル=110円で円高が止まり、そこからどんどん円安へと
向かえば、損失の回復も早く、ナンピンしてよかったということになります。しかし、相場は気まぐれです。行き過ぎ
がさらに行き過ぎる局面もあります。もし、ギリギリまでナンピンで買い向かい、万が一、思惑と逆に動いた場合、
待っているのは破綻です。
特に、それが大きなトレンド相場にぶつかっていたら、どんどん逆方向に持っていかれてしまい、ナンピン分も含めて
損失が拡大してしまいます。
自分の思惑とは逆の方向に相場が動き、損失が生じた場合にとるべき方法は2つだけです。
ひとつは、損を切ること。そしてもうひとつは、取引額を縮小することによって、再び運が回復するのを待つことです。
ナンピンは、自分が損しているにもかかわらず、ポジションを縮小させるどころか、積極的に拡大させていくという手法です。
それではリスクのコントロールなど不可能といえるでしょう。私の経験からも、ナンピン決してお勧めできるものではありません。